駿河型染(和染め)は、静岡の伝統工芸です。
染色方法には、しぼりや手描き、ろうけつなどいろいろな種類がありますが、静岡でもっとも盛んなのが、型染めです。
■静岡の染め物 型染めの技法■
静岡の染め物の主流、型染めの技法について紹介します。
型染めは、基本となるデザインの型紙を切り抜いて模様を作るところから始まります。和紙を数枚、柿渋でを張り合わせた紙に、刀で模様を彫り込んで型紙を作ります。
次に餅米を原料に米ぬかと塩、石灰などを加え秘伝の防染糊を作ります。昔から一糊二腕といわれるように糊づくりは職人のもっとも苦心するところでした。
その後、張り板の上に布を張り、型紙を順次送りながら乗せて、へらで糊付けをします。
糊が乾いたところで色差しをして、水洗いして糊を落とします。
多色染めの場合は、数回繰り返します。
大橋さんの所には、たくさんの型紙があり、また新しいデザインの型紙もどんどん作っているそうです。
なお、戦前(大平洋戦争前)までには印物(しるしもの)と言って商店の屋号や家紋を藍で染め抜いた(職人が仕事の時に着る)半纏や暖簾を作る紺屋が静岡市内に何軒もあり、大橋さんもそのうちのひとつだったそうです。
○駿河(今の静岡市周辺)のそめもの
静岡市には、「麻機」「賎機」「服織」など織物に関係した地名が 今でもあります。約500年前の今川時代には、藍の栽培が盛んに行われ
現在町の中心部の紺屋町では、型染め、紋染めが盛んに 行われていました。
江戸時代には、町の西を流れる安部川沿いに多くの紺屋が いたそうです。
明治に入り、機械化などで、衰えましたが、大正時代に入り、 地元出身の人間国宝、芹沢_介(けいすけ)さんを中心とした方たちの努力により再び復活しました。
型染などにより、のれん、風呂敷き、卓布などが作られています。
芹沢けい介氏は、1895年5月13日、静岡市に生まれました。
1913年東京高等工業に入学、印刷図案を学び、また洋画やバーナードリーチの陶芸にもひかれました。
静岡県工業試験場所や大阪府立商工奨励館などに勤務後、1926年に柳宗悦氏に出会い、民芸運動に参加しました。
実用的な工芸品に芸術性を求めた型染めや、その技法を生かした民芸雑誌「工芸」の表紙装丁・染色・挿し絵など多方面で活躍し、型染めを創造的な工芸品として、再認識させました。
こうして、静岡の染め物にも大変な影響を与えました。
大橋さんのお父さんは、この芹沢さんと一緒にお仕事をされていましたので、作品もよく似た部分がありますよ。
○職人
大橋俊之さん
一緒にお仕事をしているお父さんは、人間国宝芹沢けい介氏と一緒に仕事をして いたそうです。
大橋さんの染め物は、楽しい柄が多くて、テーブルに敷くとそれだけで部屋の様子が変わります。
また、研究熱心で、お客さんに喜んでもらおうといつも新しい作品を開発しています。
大橋さんからひとこと(^^)
当工房では、自家製の糊で防染したあと、手染めをします。
手仕事の持つ絵際のやわらかな線と布の暖かさを感じていただけたら幸いです。
略歴。
1954年 静岡市に生まれる。
1976年 武蔵野美術大学卒業後、父隼雄氏に師事、染色工芸に従事。
1997年 静岡伝統産業工芸展市長賞受賞
工芸こだわり隊〜静岡の染め物